石綿(アスベスト)について
石綿(アスベスト)ってなんですか
石綿は、天然の鉱物性繊維です。日本語では、「いしわた」「せきめん」と呼んでいますが、英語では「アスベスト」を言います。
繊維の直径は、数ミクロンからクリソタイルでは0.02-0.03ミクロン程度、長さは数ミクロンから数十ミクロン程度のものが多いとされます。熱に強く、摩擦に強く切れにくく、酸やアルカリにも強いなど、丈夫で変化しにくいという特性を持ち、さらに軽く綿状の性質により、様々な形に加工しやすいという性格ももっています。
どこで、何に使用されていましたか
石綿は、様々な用途に使用されてきましたが、石綿の使用量のうち9割以上が建材に使用され、その他、化学プラント設備用のシール材、摩擦材等の工業製品等に使用されています。
また、石綿が含有された製品が多く生産され、石綿糸、石綿布等の石綿紡績製品、石綿セメント又はこれを原料として製造される石綿スレート、石綿高圧菅、石綿円筒等のセメント製品、住宅用建材、ボイラーの被覆、船舶用隔壁のライニング、内燃機関のジョイントシーリング、ガスケット(パッキング)等にも耐熱性石綿製品が用いられました。
さらに、これら石綿又は石綿製品を直接取扱う作業の周辺等において、別の作業に従事していた労働者についても、間接的にばく露を受けていた可能性があります。
なぜ今アスベストが問題となるのですか?
アスベストは、建材としては昭和30年頃から使われ始め、ビルの高層化や鉄骨構造化にともない、吹き付け石綿は鉄骨構造物などの軽量耐火被覆材として昭和40年代の高度成長期に多く使用されました。近年、アスベストを使用した建築物の老朽化が進み、その解体・改修工事が、今後ピークを迎えるといわれており、その際、飛散するアスベスト粉じんによる工事従事労働者等に対する健康障害の発生が懸念されています。
石綿(アスベスト)が原因による健康被害とは?
なぜ危険なのですか
石綿は、断熱性、耐火性、電気絶縁性、耐酸性、耐アルカリ性に優れているといった利点がある一方で、容易に飛散し、吸入されても石綿繊維は分解されず、肺の組織に刺さり、15年から40年の潜伏期間を経て、石綿肺、肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こすおそれがあります。
石綿(アスベスト)による健康障害例
石綿肺(じん肺の一種)
肺が線維化するもので、せき等の症状を認め、重症化すると呼吸機能が低下することがあります。
肺がん
肺にできる悪性の腫瘍です。
胸膜、腹膜等の中皮腫(がんの一種)
肺を取り囲む胸膜等にできる悪性の腫瘍です。
これらの疾病については、石綿粉じんを少量吸い込んでも発症する可能性があり、また、石綿粉じんのばく露から発症までの期間が相当長いこともあります。