ここでは各工法別釘抜き作業時の石綿空気濃度試験で飛散石綿の量を比較してみます
試験内容
石綿含有屋根材の非塗装面(試験台)に打ち込まれた瓦固定釘(265本)の引き抜き作業を行った場合の、作業空間、作業者呼吸部での石綿空気濃度を各工法で測定します。
各工法:通常工法、湿潤化工法、シールドサクション工法
資料提供:石綿対策技術委員会
通常工法
通常工法分析結果 | 青色:基準値以下 赤色:基準値以上 | |||
テストNO | 実験状態 | 測定値 (f/L) | 基準値 | |
敷地境界 (f/L) | 屋内作業管理濃度 (f/L) | |||
1 | 作業前ブランク値 | ND | 10 | 150 |
2 | 作業時測定値 | 11.2 | 10 | 150 |
作業者呼吸部位 | 16.2 | 10 | 150 |
湿潤化工法
湿潤化工法は解体前にあらかじめ屋根材の表面を湿潤化(噴霧)した状態で、普通の釘抜き工具を使用して釘抜き作業を行います。
湿潤化工法は、現在法律で決められている工法です。
通常工法分析結果 | 青色:基準値以下 赤色:基準値以上 | |||
テストNO | 実験状態 | 測定値 (f/L) | 基準値 | |
敷地境界 (f/L) | 屋内作業管理濃度 (f/L) | |||
1 | 作業前ブランク値 | 1.2 | 10 | 150 |
2 | 作業時測定値 | 3 | 10 | 150 |
作業者呼吸部位 | 11.6 | 10 | 150 |
湿潤化工法では、釘抜き作業空間への石綿飛散は抑えられているが、釘抜作業者呼吸部位は基準値以上の石綿が出ています。
但し屋根材の表面を濡らしても、屋根材の中にはすぐには浸透しません。浸透しない状態で釘抜きを行うと屋根材内部より削られた石綿(アスベスト)が空中に飛散します。
湿潤化を行うと、屋根材と靴底の摩擦力がなくなり大変滑りやすくなるので、作業者が滑落、転倒といった危険性が発生します。
シールドサクション工法
屋根材表面が乾燥している状態で、シールドサクション工法機器、工具を用いて釘引抜き作業を行います。
シールドサクション工具で釘引抜きを行うと、固定釘、石綿飛散、粉じん、釘抜きが破砕した釘周辺の屋根材の破片等を吸引除去します。
固定釘と屋根材破片は、トラップボックスで分離され、飛散石綿と微細粉じんは、クリーンルーム用掃除機メインフィルタ内へ捕集されます。
通常工法分析結果 | 青色:基準値以下 赤色:基準値以上 | |||
テストNO | 実験状態 | 測定値 (f/L) | 基準値 | |
敷地境界 (f/L) | 屋内作業管理濃度 (f/L) | |||
1 | 作業前ブランク値 | 4.3 | 10 | 150 |
2 | 作業時測定値 | 4 | 10 | 150 |
作業者呼吸部位 | 1 | 10 | 150 |
シールドサクション工法では、釘抜き作業時、作業者呼吸部位どちらにおいても、石綿は出ず、 実証試験でも、釘抜き作業時、作業者呼吸部位どちらにおいても、石綿は出ませんでした。